第192章 四、五歳の息子

そういうことなら――この肩書き、使えるだけ使い倒してやる。

佐伯薫は胸いっぱいに息を吸い込み、視線を上げて有川紘樹を見た。いまさら最後の情けを引き出すつもりで、口を開きかけた、その瞬間。

ピリリリリ――と着信音が鳴った。

有川紘樹は画面に表示された名前を見た途端、こちらの空気を丸ごと放り出すように脇へ移動し、電話に出る。

「……もしもし。佑奈」

すぐに、受話器の向こうから水野佑奈の冷えた声が落ちてきた。

「有川紘樹。ここまでにしましょう」

関係を切り捨てるような一言に、有川紘樹の胸がひゅっと縮む。焦りが先に立ち、反射的に訊き返していた。

「……どういう意味だ?」

「意味なん...

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